確定拠出年金について

最近、某銀行の担当者様より確定拠出年金のセールスを受けました。いま、加入を検討している最中ですが、せっかくなので確定拠出年金の税法上の取扱いなどを中心に整理してみることにします。

 

確定拠出年金とは、加入者が拠出した掛金を自己の責任おいて運用指図を行い、その結果に応じて年金給付額が決定される年金制度です。確定拠出年金には、加入者個人が掛金を払う「個人型確定拠出年金」と、企業が掛金を払う「企業型確定拠出年金」とがあります。

加入者は平成13年の導入以後年々増加しており、企業型確定拠出年金は平成27年2月末で506万人とかなりの数にのぼっています。一方、個人型は 21万人 (資格喪失者を除く)にとどまっておりますが、最近の株高及び加入対象者の拡充策で普及が進むことが期待されています。

 

以下、私がいま加入を検討しています「個人型確定拠出年金」についてみていきたいと思います。

■概要

加入できる人は、60歳未満の自営業者等(国民年金第1号被保険者)と企業型年金加入者、厚生年金基金等の加入員等の対象となっていない企業の従業員(国民年金第2号被保険者)です。現在の加入範囲は上記にとどまっておりますが、加入範囲を拡大するべく確定拠出年金法等の一部を改正する法律案が平成27年4月3日に国会に提出されており、現在審議中であります。

掛金は、加入者個人が拠出します。掛金の拠出限度額は、第1号被保険者は月額68,000円(国民年金基金との枠の共有となります)、第2号被保険者は月額23,000円となります。

運用は、加入者が自身で運用指図を行います。運用先として、預貯金、公社債、投資信託、株式、信託、保険商品等となっておりますが、どのように運用先を選定するかは、私も含めて素人にはなかなか悩ましいところですね。

運営は、国民年金基金連合会が行います。初回の掛金の内から2,777円、毎月の掛金の内から103円、国民年金基金連合会に対し手数料が発生します。その他に、運営管理機関、事務委託先金融機関が徴収する手数料があり、それぞれが定めるところにより負担が発生しますので、このあたりを見落とさないように注意です。でもこれって掛金月額が最低の5,000円だと、結構な負担割合になりませんかね、どうなんでしょう。

それでも得になるようなことも言われているようですが、そのあたりが気になる方は運用方法について専門の解説サイトなどをご覧になられることをお勧めします。

 

■給付

60歳に到達した場合、60歳到達前に一定の障害状態が続いた場合 … 5年以上の有期年金、終身年金、一時金の選択ができます(一時金は規約に定めがある場合)。

死亡した場合 … 遺族が一時金でそのときの運用残高を受給します(相続税法上はみなし相続財産として法定相続人1人あたり500万円まで非課税)。

脱退した場合 … 一時金として受給できますが、脱退できる場合がかなり限られてくるようです。

 

■税金

税制上の優遇が多いことが、確定拠出年金のメリットといえます。

掛金拠出時 … 拠出額が全額所得控除(個人型。企業型は法人の損金扱い)

年金受給時 … 雑所得として公的年金等控除(一時金として受給した場合退職所得に該当し退職所得控除)

つまり、掛金を払った時には掛金相当額が非課税となり、給付を受けるときにも収入金額に対して控除がありますので、掛金支払い時に所得が高い人にはそれなりにメリットがあるものと思います。

また、運用益について現在非課税となっていることも注目すべきです。個人での投資には通常運用益に税金がかかりますが、確定拠出年金制度の中での運用なら税金はかかりません。非課税分だけは有利に投資できる格好になっています。※ 毎年の資産残高に対して1.173%の特別法人税課税がなされますが、バブル経済崩壊以後の運用収益の悪化を背景に、平成29年3月31日まで適用停止となっていますので、現在非課税です。

 

■その他

掛金と運用収益の合計額などが年1回以上通知されることになっていますので、定期的に運用状況を確認して運用を見直していく必要がありそうです。

 

■まとめ

メリット、デメリット、運用方法については他のサイトでも色々と情報が載っていますが、運用はあくまで自己責任であることと、原則60歳までは中途解約ができないところがやはり注意点でしょうか。

運用にはやはり一定の金融経済の知識が必要になってくると思います。60歳になった時に元本割れしていると少し悲しいですしね。(もっとも拠出時と給付時の税率差で、長い目で見て結果的に得なケースも多いとは思いますが)

また、若い世代にとっては60歳まで中途解約不可というのは、少々長く感じるのではないでしょうか。年金制度の趣旨からいうともっともなことではあるのですが、以前何人かのお客様からも同様の感想をいただいたように記憶しています。

40歳以上で老後資金を意識しだしている方、税率が高いので掛金で所得控除の適用を受けたい方にとっては、確定拠出年金は魅力があるものと思われます。あくまで老後資金なので、リスクの高い運用方法は個人的には避けるべきだと思いますが、長期的な資産運用の一環と考えてトライしてみるのはいいかもしれません。

 

2015-05-15 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 税理士服部